本研究室の研究は超高周波エレクトロニクス分野ということで、授業を通して身に付けてきた情報エレクトロニクスの知識は必要不可欠です。更に、光波・マイクロ波分野の知識、数値解析技術、プログラミング技術を必要としますが、これらは研究を行いながら身に付けて行く形になっています。

超高周波工学研究室では、ゼミを通して光波・マイクロ波分野の知識、数値解析技術、プログラミング技術の基礎を身に付けることができますが、あくまで基礎だけであり、応用するための技術は個人の努力によって異なってきます。つまり、図2や図3のような個人差が出てくるわけです。これは、サークルの大きさが技術レベル、サークルとサークルの重なりあった部分が応用力を示しています。入門書や専門書を通して各技術レベルを上げることはできますが、他の分野への応用力は養えません。他の分野への応用力は自分でやって、肌で感じて身に付けていくものなのです。

超高周波工学研究室でうまくやっていく「こつ」、それは「自分から調べ、自分から計画し実行すること」です。これは、会社ではあたりまえのことですが、学生はその部分を見落としがちのように感じます。超高周波工学研究室は自由が多いですが、その自由をうまく利用し図4のような人になってもらいたいと思っています。このような人になるためにも、自分の研究だけでなく光波・マイクロ波自身に興味を持ち、実際にやってみることが第一です。光波・マイクロ波分野を好きになるためには大きな壁を何度も乗り越えなければなりませんが、好きになればストレスは感じなくなり、更に上の壁を目指すようになるでしょう。超高周波工学研究室は、そのような人にとってベストな環境を用意してくれます。逆に、遊んでばかりだと図5のようになるかもしれません。


上で述べた内容は研究で求められる技術分野を挙げただけで、具体的な技術については曖昧でした。では、「具体的にどんな技術を身に付ければいいの?」と思われたかもしれませんが、その質問には答えられません。なぜならば、研究が進むにつれて必要となる技術が人それぞれ異なってくるからです。研究のポイントは、必要な技術を確実に身に付けながら、些細なミスをしないようにすることです。研究はなかなか上手くいかないものです。失敗することが多いです。しかし、その失敗の原因を見つけ、次は失敗しないように心がけること、その積み重ねが価値のある研究結果につながっているのです。
現在、プログラミング言語は、Fortran、C、C++、C#、Basic、Javaなど沢山あります。これらのプログラミング言語の一つ一つの命令は、コンピュータに基本的な仕事(例えば、四則演算や文字の入出力など)をさせるだけのものです。つまり、これらの基本的な命令を上手く組み合わせて研究などで役に立つソフトウェアを作って行くことが大切なのです。例を挙げると、回路設計などの研究では、同じ式を何回も使います。この式を電卓で計算すると、打ち間違いによるミスがあり、時間もかかります。しかし、ほんの数十行のプログラムになる式でもミスのないプログラミングをすることで、研究での些細なミスを減らすことができ、研究の効率もアップするのです。皆さんは、ミスのないプログラミングができますか?プログラミングのエラーがあったとき、人に助けてもらっていませんか?誰でもプログラミングのミスはあります。しかし、ミスを見つける能力がなければ役に立つソフトウェアはつくれません。このミスを見つける能力は、人に頼ってばかりだと何年経っても身につかないものなのです。
インターネットを活用すれば、研究に役立ちそうなプログラムと出くわすときがあります。研究を行う上で、そのプログラムをコピーして使うことは一見効率がよさそうに思われるかもしれませんが、実は危険な行為をしていることになるのです。そのプログラムを信じて何もチェックせずに研究で使用したとします。数ヵ月後に研究が上手くいかなくなり、何が原因なのか探してもみつかりません。何がいけなかったのでしょうか。答えは、「研究している本人の気のゆるみ」です。研究というのは、一つ一つ確実に理解し進めていかなければ上手くいかないものなのです。
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