研修期間:A日程(2002年8月1-15日) 所属:関西大学商学部4回生

何事もチャレンジ(Y)

 私はこのインターンシップを通して社会で役立つ「商学」を学んだと思います。ここで起きたたくさんの出来事・出会いは確実に「働く」ことの意味を考えさせ今まで大学で学んできた「商学」の概念を変えるものでした。この経験は想像していたものより遥かに自分の甘さを戒め商学部生として経済活動というものを実質的に捉える思考を芽生えさせるものでした。当初この研修に参加を決めた理由に「世界の工場」と呼ばれる中国の工場を見てみたいという興味、そしてテクノセンターにボランティア的な要素を感じ経済開発の点からの興味がありました。

 私の当初の興味はここで働く日本人・中国人との出会いで全く違うものへと変わっていきました。ここで働く人の思い、「働く」事とは何か?という疑問が頭から離れなくなりました。ここでのインターンシップの魅力は会社という組織の「夢」の部分と「現実」の部分を直接的に感じ学べる点です。なぜなら、ここには高度成長期にあったころの日本を彷彿させる環境・空気が存在するからです。工場内など日本ではオートメーション化している設備も中国の持つ規制の存在で不自由な形でしか設置できなかったりします。そして大体の作業に人を使用します。それが中国での生産目的であり「生産コスト削減」が可能となる要因だからです。工場で働く従業員は農村から出稼ぎ目的の学校を出たばかりの18歳から22歳くらいの若者が一般的です。今まで親の手伝いの農作業しかした事がない彼彼女らに一から仕事を教えることは並大抵のことではありません。それをここでは少数の日本人で教育・管理しています。ここで働く日本人の方は大学を出たばかりの私と同年代の人から日本では退職される年齢の方まで様々です。日本人の方は自分の持つ全ての知識を活用し勢一杯仕事をしています。日本人管理者には「打てば響く」中国人従業員の働きに日本では得られないやりがいを感じている方もいます。「”利益を出す”という会社の一番の目的を従業員一人一人が実践することで会社が成り立っている」といった会社の基本がここでは目に見える形で私に伝わってきました。すべてのことがオートメーション化され一人一人の仕事の成果が見えにくい日本の会社のインターンシップでは味わうことの出来ない体験だと私は思います。

 そして「何事もチャレンジしてみる」といった言葉がまさに体験できるのがここでのインターンシップです。一番始めに「何事もチャレンジしてみなさい。”無理かな”と思うことでもまずは聞いてみなさい」と言われました。言葉通りここで私は興味をもったこと全て経験することができました。中国人従業員と同じ宿舎に泊まり、同じようにラインに入り働いたり、営業担当の方について会議に出席したり取引先の会社の方にもお話を伺ったり、本当に柔軟に何事にも取り組めるチャンスがいくらでもありました。そしてどんなに忙しくてもその願いを快く引き受けてくださったり、見せたくないことも隠さず見せてくれる企業側の協力がこのインターンシップをより良いものにする要因だと思いました。

 「商学」とは何か?本や授業では味わうことの出来なかった経験、そして働く人々との出会いを通して知った「働く」ことの現実は私の日々の生活に確実に変化をもたらしました。私の場合、父に対する感謝・尊敬の念をより一層感じるようになりました。ここで出会った方のお話、そして出会いは本当に面白くとても心に残っています。「商学」のおもしろさ・厳しさを体験し、社会のつながりを感じることのできるインターンシップでした。


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