アウトライン作成から校正まで
(レポート作成ステップ8―執筆と校正(2))
栩木伸明『卒論を書こう』三修社,1995年,第4章(106-129頁)
アウトラインの作成
ある程度の数のパラグラフができたら,論文の詳細な目次を作るつもりで。
作成したパラグラフのタイトルを眺める(タイトルを見てパラグラフを思い出せない場合はパラグラフそのものを読み直す)。
作成したパラグラフのタイトルを,論理的に矛盾なくつながるように並べてみる。必要に応じて,この作業の最中で,パラグラフの書き直しやタイトルのつけ直しもすること。
論文のアウトラインを組み立てていくときに,情報カードに書き込まれた文献からの引用を利用すること(自らの筋道・論旨を裏付ける証拠として既成の解釈や研究成果を利用すること)。その際,盗用にならないように注意すること。
ヌ「引用と自説の区別と参考・引用文献の明示」(5月31日配布済)
パラグラフを論理的に配列する
自分か書いたパラグラフをアウトラインにしたがって,筋道が通るように配列する。
最初から最後まで読み通してみると,それぞれのパラグラフの役割(幹か枝葉か)や,「ここにもう一つパラグラフを挟まないとつながらない」,「この線で論証するには証拠が足りない」といった問題が見えてくる。
見えてきた問題を全て(情報カードなどに)書きだし,問題の重要性にしたがってランキングを行う。重要度の高いものから手をつけ解決(資料の収集・文献の読解・パラグラフの作成など)をはかる。
生じた問題がアウトラインそのものの変更を要求する場合には,アウトラインを変更して問題を解決すること。
校正
文体の統一
情緒的な文章になっていないか点検する。
国語辞典等で,自信の持てない語句(用法)を点検する。
読み手の側に立ってみて,読みやすいように句読点の位置や段落の長さを調整する。
(補足)論文・レポートの作成方法に関して
論文・レポートの書き方に習熟するには(文章力・表現力をつけるには)
学術論文を多読・精読すること。
論文の主張や内容を知るためだけでなく,論文の書き方・表現を学ぶためにも。
『経済学文献季報』の活用。
学術情報センター総合目録データベース
http://webcat.nacsis.ac.jp
経済学文献目録 (OCU ERI - Biblio)
http://www.eri.osaka-cu.ac.jp/biblio/
あとは実践あるのみ。レポート作成全体の流れやポイントをつかんだら,レポートを書き始めてしまうこと。論文を書きながら,書き方の詳細を学ぶつもりで取り組むこと。
書き方の点でつまずいたら,その都度,斉藤孝『学術論文の技法』(増補版,日本エディタースクール出版部,1991年)等を読んでください。
「自分が提示した証拠,事例に対する他者のとらえ方や,考え方,感じ方は様々です。よって,論文そのものが一人よがりのものになってしまうと思うのですが,それでよいのですか」 →よくない。
論文中でありうべき批判を想定し,それに応えることが必要。
学術論文は,言いたいことを書くのではなく,言えることを書くもの。