中南米経済論の今日的課題



 戦後のラテンアメリカ経済の発展過程は概ね、輸入代替工業化(50-60年代)、債務依存型成長(70年代)、「失われた10年」と呼ばれる債務危機・構造調整(80年代)、民営化・規制緩和・貿易自由化(90年代)と特徴づけられます。80年代ま で、一貫して重大な役割を果たしてきたのは政府系企業であり、政府主導の保護主 義的な経済運営が支配的でしたが、90年代に入ってこの50年の流れを転換させるような試みがはじまり、ブラジルなどではそれが経済成長に結びつき、中国・インドと並んで新興市場(エマージング・マーケット)と呼ばれるようになってきまし た。中南米経済論は、その研究対象を中南米(ラテンアメリカ)地域に求めたものに他なりませんから、その課題は発展途上国経済論と基本的に同一ですが、あえて今日のラテンアメリカに引きつけてその課題を求めるとするならば、それはこの政 府系企業民営化・規制緩和・貿易自由化の動きをどう評価するかになると思います。



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