2003年度国際投資論(中南米経済論)
「学生による授業評価」アンケート自由記述一覧
(2003年12月4日実施・回収:35名分)
- 【第1部・商学部・4回生・男】常に最良の形態を模索しながらの授業作りが行われていて良いと思う。
- 【第2部・商学部・4回生・男】今まで大学にいた中で初めての授業体系だったが,一番自分が学ぶことのできる授業であったと思う。生徒の目つきもほかの授業とはまるで違っていた。
- 【第1部・商学部・4回生・男】この授業はほかの授業とは一線を画し,学生一人一人の参加が必要であり,負担は多く大変だと感じることもあるが,やりがいがあり大変おもしろい。すべての授業がこのような授業だと大変だと思うが,こんな授業がもっとあってもいいのではないかと思います。
- 【第1部・文学部・4回生・女】とにかく大変な授業だと思う。けれど人の発表を聞くのはけっこう面白いと思った。
- 【第1部・文学部・4回生・女】学生参画型授業をより良いものにしていくため,前期とは違う試みがいくつか導入された。常に挑戦していくことが大切だと,この授業を受けていると感じる。たくさんの人と(商学部の)知り合えて,刺激になる。ほかの学部の人も,参加できるともっとすごいことができそうなので,検討してみてください。
- 【第1部・文学部・4回生・女】今まであまりふれることのなかった分野の授業だったので,当初はかなりのとまどいがありました(学生参画型という授業形態も含めて)。しかし,今では毎回の授業で何かを必ず学ぶことができることが自分のためになると実感しています。(CWや自分で企画することによって)最近少しずつ発言できるようになったのも,そのあらわれかもしれません。
- 【第1部・商学部・3回生・男】前期,後期と授業の企画をして,そのどちらも,結果に満足していません。企画をするごとに,やり残したことや課題がでてきて,自分で納得いくことがないので,精進の気持ちを持ち続けることができると感じました。
- 【第1部・商学部・3回生・男】前期の中南米経済論も入って,すごく大変と感じました。でも,この授業は自己参加型ですから,個人のいろんな能力を発揮することができる。
- 【第1部・商学部・3回生・男】授業は参画型というかたちで行って学生としてはすごく楽しいです。
- 【第1部・商学部・3回生・男】前期に一回この授業の形を経験しているので,大分要領がつかめた。発表の時はしんどかったが,それなりに得るものは大きかったと思う。やはり発表の班の中でもやる気のない人がたまにいるみたいで,それが目についたように思う。僕の班はみんなでやることができたのでよかった。
- 【第1部・商学部・3回生・男】この国際投資論の授業形態はすばらしいとは思いますが,大きな問題があると思います。その問題は班構成です。僕の班の発表は上手くいきませんでした。その上手くいかなかったのを直接班構成に結びつけるのはどうかと思われますが,少なくともこれからも大きな問題の一つとして扱う必要があると思います。この授業は専門科目の授業ですから,いろんな学生が履修することが可能です。この授業に対して目的意識をもって挑んでいる学生と,持っていない学生が一緒になって班を構成されます。ランダムにそれらが混ざり合うので目的意識がある人が目的意識のない人ばかりの班に入ることもあります。目的意識の低い班では上手く発表できる可能性は低いです。目的意識のある人がすごくがんばったとしても,発表がうまくいかなければ,その班の発表の点数は当然のように低くなると思うのですが,その中でがんばった人の評価はどうなるのですか?
国際投資論の授業の内容は難しいので学生が調べて発表するよりも,先生が授業をやる方が学生は理解しやすいのではないでしょうか?ただ,先生に授業をしてもらう内容というのは,学生で話し合い,決める方がいいと思います。
前期のラテンアメリカ経済論は発表がうまくいったので何も感じませんでしたが,後期の国際投資論は少し内容が難しいということもあるので,前期とは少しやり方を変える必要があると思いました。
自分の考えを整理せずに文章を書いたので,内容はめちゃくちゃだと思います。すいません。
- (長谷川コメント)「目的意識がある人が目的意識のない人」。私はそうやって区別することは実は良い結果をもたらさないと思っています。目的意識があるかないか(あるいはどの程度あるか)は実は傍目から事前にはわからないものなのではないですか。それを「目的意識がある人」と「目的意識のない人」と区別を持ち込むことで,「目的意識がある人」とされた学生は目的意識を高め・表現し,逆に「目的意識のない人」とされた学生は目的意識を低め・隠してしまうものです。なおかつ,目的意識は実践(この場合企画班としての活動)の中でしか,しかも目的意識があるものとして扱うことでしか育むことができませんので,意外と「ああこいつは目的意識ゼロだ」との思いが,その人の目的意識を育むこと邪魔をしているのかもしれません。
- 「発表がうまくいかなければ,その班の発表の点数は当然のように低くなる」。そうではありません。私が提案している成績評価基準(案)をよく見てほしいのですが,当日の発表はもちろんのこと,授業運営の出来不出来すら評価の対象になっていません。ではどこで企画班としての評価をするのかといえば,クラス新聞によってです。クラス新聞は,自分たちが企画運営した授業をふりかえって作品化するものなので,どれだけふりかえりができているか,ふりかえっての気づき・学びがどれだけ盛り込まれているかがその評価尺度になります。つまり,発表や授業運営が大失敗したとしても,その失敗から学ぶものが多くて,それが新聞に表現されればクラス新聞の評価は高ります。こうした勘違いは,企画班の任務を「授業運営」ではなく「発表」と誤解していることから来ているのかも知れません。現に,企画班の活動とその評価のあり方を問題にしている記述でありながら,「発表」という言葉は出てきても「運営」「企画」という言葉は一度も出てきません。
- 「国際投資論の授業の内容は難しいので学生が調べて発表するよりも,先生が授業をやる方が学生は理解しやすいのではないでしょうか?ただ,先生に授業をしてもらう内容というのは,学生で話し合い,決める方がいいと思います」についてです。第1に,テキストを学生の分担で終えた現在でも,その印象は変わりませんか。第2に,国際投資論を「難しい」と感じる学生が「先生に授業をしてもらう内容」について話し合って決めることは果たしてできますか。私には不可能に思えますが。
- 【第1部・商学部・3回生・女】前期に比べ,教科書が変わったので,難しくなりそう…と思っていたけど,やってみると意外とおもしろかった。企画班の発表に,うまく先生が修正したり,コメントしたりそのバランスが前期より良かったと思う。最大限学生が授業をして,最後に先生のコメントという形の方が,先生のコメントもすごくズッシリと自分の中に入ってきました。
- 【第1部・商学部・3回生・女】後期は内容(テーマ)が難しくなったが,学生主体の学びができる場としては相変わらず充実している。
- 【第1部・商学部・3回生・女】教科書にそって各班に範囲が割り当てられていたため教科書をわかりやすく理解できたと思います。授業を任せられるという事はすごく大変でしたが,終わった後の達成感は何ともいえないぐらい大きかったです。
- 【第1部・商学部・3回生・女】最初は国際投資って!?難しそう…としか思わなかったが,だんだん授業が進むにつれて(特に今回は教科書に沿っているので)理解できてきた。どの章をやってもどこかで内容がつながっているのがおもしろい。
- 【第1部・商学部・3回生・女】しんどいこともあるこの授業。前期よりも難しい内容ではあったが,一冊の教科書を班で分担したことによって全部のそれぞれの授業につながりを感じることができたのがよかった。毎回毎回がステップアップになるような授業でよかったです。
- 【第1部・商学部・3回生・女】しんどいことが楽しい授業だと感じる。こんな感覚は今までの勉強ではあまり感じたことがない。どちらかというとスポーツに近い気すらする。一生懸命日々練習。大会に出て,その結果に喜んだり悔しい思いをしたりするのだ。けれど一度にいくつもの部活に入れないように,いろんな事と一緒に股かけすることはできないと思う。
- 【第1部・商学部・3回生・女】後期の企画は前期に比べて要領が分かってきたためか時間がかからなかった。でも授業中調べの甘さがでたためどうしようかと思ったときの,先生の助け船に救われました。
- 【第1部・商学部・3回生・女】この授業は,学生が主体者で授業を吸収していると感じられる唯一の授業だと思います。ほかの授業で教わることは薄っぺらい気がして,とても商学部ですとはいえないけれど,この授業は私の血肉になっていると感じることができ,とても満足している。
- 【第1部・商学部・3回生・女】自分にとって,とてもプラスになる授業形態と思う。一方,ストレスがたまってしまう。
- 【第1部・商学部・3回生・女】この授業は本当にしんどい,時間もかかる,でも,それだけではない。自分の身になることをたくさん得ることができる授業だ。
- 【第1部・商学部・3回生・女】後期は企画にも慣れ!?少し余裕を持って授業を受けることができた。しかし,CWは資料を探すのが大変だ。
- (長谷川コメント)CWは文献資料を探し出すことをしなければなりません。図書館を利用した経験が少ない学生や,読書力がない学生には大変だと思います。けれども,CWが要求するレベルの資料を探すことは学生時代に「できて当たり前」になっていなければなりません。情報を適切な方法で効率的に収集することは,生きていく上で必要不可欠な能力ですので,これからもどんどん磨いてほしいと思います。
- 【第1部・商学部・3回生・女】国際投資論は学生参画型授業。最近先生のコメントで,聞くほうも相手が発表しやすい場を作らないとね,ということがあった。まさにそうだと思った。企画者が必死になって授業を作り,ほかの学生は参加してるだけのように感じる。確かに学生による授業はインパクトもあって頭に入るし気付きも多い。でもみんなで作っていかないとね!って感じた。
- 【第1部・商学部・3回生・女】この授業は学生参画型を用いて行われているので,1人1人が授業に責任を持って取り組んでいる。なので,ほかの授業に比べ,学生1人1人が“理解しよう”という姿勢で授業に臨んでいるので非常に良いと思う。ただ,自分の発表の週等は事前準備が大変でほかの授業に出られないこともあったりする。
- 【第1部・商学部・3回生・女】国際投資論は学生参画型授業の形のため,企画担当のときはほかに時間を使えないほど忙しかったが,その分やり甲斐や達成感を大きく感じられる授業だった。ほかの授業を受けていると,なんか物足りなさを感じてしまうから,慣れって恐いなぁ。
- 【第1部・商学部・2回生・男】授業の内容等,実質的なことには不満も多く,とても満足できたとは言えないが,この授業に意欲的に参加している人(せざるを得ない人は除く)と一緒に授業を受けれて良かったと思う。
- (長谷川コメント)授業の内容について不満が多いことはわかりました。改善につなげるためには,授業の内容のどの部分が不満なのか,「実質的なこと」とは何か,何が・なぜ・どのように不満なのか書いてもらった方がいいですね。教員と学生の授業に対する責任は自ずから異なりますが,その責任の一端を一人ひとりの学生も,したがってあなたも担っていることを忘れないでください。
- 【第1部・商学部・2回生・男】大学の授業でガンバったのはこれが初めてで,全部が困難じゃすごいしんどいけど一つぐらいあってもいいと思う。いろいろ気付いたことも多かった。
- (長谷川コメント)授業で頑張った経験が初めてというのは,大学教育の現状としては悲しいですが,一学生としては一つでも頑張ったと胸はって言える授業があるということは,嬉しくてすばらしいことだと思います。就職活動でもこの経験はいろいろと役に立つはずです。
- 【第1部・商学部・2回生・男】ほかの授業とは違う点が多く,大変ではあるが,やりがいや得られるもの(知識)は大きいと思う。
- 【第1部・商学部・2回生・男】CWSでテーマにあった記事を見つけ出すのがムズいです。3人班で企画,新聞作りをするのは,キツいです。授業中の発見を完璧にメモにとるのは,不可能と思います。テープレコーダー使うなりもっと記録しやすいやり方をとらせて欲しいです。毎週,宿題が出るのは,キツいです。新聞作りの基準がキビしく感じます。あと,とにかく机が狭すぎます。もっと使いやすい机が欲しい!
- (長谷川コメント)いろいろと不満があることはわかりました。ただ残念なのは,この授業は発言や提案の機会は様々な形で保証されているので,例えばメモをとるのにレコーダが必要ならばそう感じた時に提案すべきではなかったのでしょうか。その時に提案されていれば解決できたかもしれません。
- それから,授業にはある種の「しんどさ」(学ぶしんどさ)が必要だと私は考えています。だからこそ履修要項で「毎回の授業への出席はもちろん,授業外での相当量の学習・活動が必要です」としているのです。簡単で楽(ラク)な授業では何も身につきませんし,学習者(学生)の積極的な姿勢がなければいかなる授業も成功しません。
- 加えて,「ムズい」とか「キツい」とか「キビしく」といった表現は少なくとも文章では用いるべきではありません。文章内容の信憑性までも低く見られてしまいます。
- 【第1部・商学部・2回生・女】国際投資論というのはかなり難しくて,範囲も広いと思います。学生参加型授業を通して,みんな自ら勉強しようとしているから,わかりやすくなった。
- 【第1部・商学部・2回生・女】すごく特殊な授業なのに,説明が少ないと思います。授業が進むうちになんとかつかめてきましたが,最初は何一つ分からずすごく不安でした。第一回目の授業では意図とかよりももっとシステムの説明に重点を置いた方が良かったと思います。
- (長谷川コメント)国際投資論は後期2単位の科目です。従来の通年科目(中南米経済論)の時代には,もう少しゆっくりじっくりとシステムの説明もできたのですが,わずか13回という限られた時間の中で,どうやりくりするか実は大変苦労しました。あまりくどくどと授業運営の方法について説明・議論してももったいないし,かといって説明・議論である程度はその仕組みについて理解してもらわないといけない。今回の場合は,前期のラテンアメリカ経済論履修者が4分の3を占めていたこと,比較的学生参画授業に明るい長谷川ゼミ3回生が多く履修していたこともあって,比較的短い説明でもできると判断して授業を進めました。
- この授業を「なぜやるのか」(意図・目的)と「どうやるのか」(システム・ツール)についての説明の配分は確かに意図・目的に偏っていたと思います。ただしこれには理由があって,「なぜ」(Why)を理解しないままに「どう」(How)を説明しても,やる気が起きにくくなってしまうし,「良くわかんないけど,とにかくやればいいんでしょ」といった従来の「勉強」の世界に引き込まれてしまうのです。さらには「どうやるのか」(システム・ツール)については今日の学生にとっては「説明されてもよくわからないけれど,やってみるとわかる」性質のものが多いので,実践しながらシステム・ツールについては理解してもらおうとしていました。
- いずれにしても,できるだけスムースに安心して授業に取り組めるようにするための工夫がまだまだ必要だと感じました。
- 【第1部・商学部・2回生・女】やる気のある授業だと思います。この授業を通じて,チームワークと行動力を十分発揮できる,いろいろ勉強になった。
- 【第1部・商学部・2回生・女】この授業は他の授業と違って,学生参画型で,自分たちの力で,授業を運営する,意外に面白い授業である。
- 【第1部・商学部・2回生・女】内容としては,すごく広がっている。豊かな知識を受け取っていた。また,宿題があるので,授業に受ける時,分かりやすいです。学生として,非常にいいと思います。
- 【第1部・商学部・2回生・女】最初はどうなるかと思ったけれど,本当に面白い授業だったと思う。企画するのもそうだけど,私はいろいろな班の発表を見るのが好きだった。それぞれ学生がいる中で,講義の中では見れない色んな人の個性を見れたし,私もそれなりに出せたかな?と思います。2回生から,いい体験が出来ました。
- 学習者(学生)がその個性,自分らしさを表現すること。今授業・教室という空間に最も不足していて,なおかつ最も必要なものです。このことなくして大学の授業の再建はありえません。
「一つぐらいこうした学生参画型授業があっていい」「いくつも学生参画型授業があったらしんどすぎる」
国際水準から言えば,日本の大学生は学習量(時間)が決定的に足りません。それどころか国際比較以前の問題として,多くの学生の場合,ゼミや語学などを除いた専門科目や一般教養科目については学習時間が授業時間に等しいかそれ以下という現状にあり,しかも授業そのものが空洞化・形骸化しています。大学教育も大学生の学力ももうほとんど崩壊寸前です。そうした「学ばない」「学びたくない」現状にあって,こうした学生参画型授業は「特殊例外的」に見えるかも知れません。「学ばない」「学びたくない」現状の中で特殊なのですから,それはつまり「学ぶ」「学びたい」ということですから,かえって良いことだと確信しています。
それはともかく,こうした学生参画授業を同時にいくつも参加しなければならないとなったらどうなるか。当初は大変でしょう。けれども次第に習熟してきますから,現状よりもっともっと効率的にできるはずです。私としても何も大学の授業が全て学生参画型でなければならないと思っているわけではありません。おそらく,eLearningや放送大学のようなビデオ学習などのどこにいても一人でも受講できる知識吸収的な授業と,学生と教員が同じ空間に居合わせて協同的に学習を進めていかなければならない知識構成的なこうした学生参画型授業とに二極分化していくのではないかと思います。