3年間で見てきた鉄道事業

宇治原幸太郎

1996年12月16日


1. 私について(略)


2. 業界プレビュー 大手私鉄

大手私鉄とは,具体的には以下の16事業者を指す。


3. 鉄道の仕事−現業について

3.1. 運輸

 職種…駅係員,運転士,車掌

 利用者と直接接する係員であり,事業者に対するイメージ形成の上でウエイトが高い。勤務時間は初電から終電までをカバーするため,深夜勤務,泊まり勤務がつきまとう。

3.2. 工務

 職種…保線・建築

 レール面から下のこと(線路・路盤)や橋りょう,トンネルが守備範囲。線路の保守作業は電車が走っている間はできないので,深夜の作業が付き物。

3.3. 電気

 職種…電力・通信

 電車区間では電車に電力を供給するのが最重要。他にも駅などのサービス電源,信号関係,通信関係(鉄道電話)など鉄道の安全確保に不可欠な部分を担う。

 停電作業は深夜になる。

3.4. 車両

 職種…検車・整備

 車両の設計と新造ということになるが,大手私鉄で自社製造を行っているのは西武鉄道のみ。新造は車両メーカーに発注するのがほとんど。比較的小規模な改造などは系列の会社で担当することも。日々の営業運転に入る前の検査を担当する検車,周期的検査を担当する整備。日々の検査を行う部門は深夜・早朝の仕事がある。


4. トピックス−アンケートの回答から

4.1. 終夜運転の可能性

 私鉄での終夜運転は現在では例外的。大晦日から元旦にかけての初詣輸送が中心。私鉄では夜行列車が走っているのは東武鉄道のみ。

 運輸部門では要員の確保,他の部門では保守・整備の間合いの確保が問題。

4.2. 鉄道で活躍する女性

 関東ではJR,私鉄とも結構いる。ただし深夜業禁止の規制があるので,泊まりの勤務にはつかない。また,この規制のため乗務員への登用はごくわずか。

4.3. 混雑改善施策いろいろ

列車の本数を増やすには
基盤の問題としては線路容量がある。複々線化すれば抜本的な解決となる。ただ莫大な投資となる。信号機の位置を変えるなどの対策は地道に続けられている。
 
編成を長くするには
ホームの長さが第一条件。さらには扉を閉める人(車掌)が安全に扉を閉められるか,この安全確保が第二条件。後方では検査線に収容できるかどうかが問題になる。
 
収容力を大きくするには
車両自体の大型化を図れればよいが,線路まわりの構築物の改築などが必要になってくる。客室内に目を向けると,座席を収納できる車両が登場しつつある。


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