第4回摂南大学FDフォーラム「学生参画型授業」(2003年7月16日)
長谷川伸「授業における対話とふりかえり」
大八木貴子・小椋充子「学生参画授業―私たちの中南米経済論」
■プレゼンテーション資料・配布資料
- 関西大学全学共通教育推進機構「学生参画型授業―中南米経済論」(大学の授業研究ビデオシリーズ第6巻,22分30秒),2003年。
- 「配布資料一覧」
- 長谷川伸「授業における対話とふりかえり」
- 大八木貴子・小椋充子「学生参画授業―私たちの中南米経済論」
- 「授業企画書」2002年度第27回(12月19日)。
- 『中南米経済論新聞』第18号,2003年1月9日付。
- 小椋充子「3つの発見が私の人生における宝になった」(後期「学びのプロセス図解」)2003年。
■提出していただいた質問ラベル(86枚)
- 感想ラベルのアイデアは良いですが,その整理などの時間が他の担当授業へ影響はありませんか?
- 先生の御努力がよくわかりました。どれぐらい大変ですか?
- 講義の準備にどれ位の時間とエネルギーを使っているのか教えてください。
- 先生の実労働時間(徹夜はどの程度?)
- ラベルリプライ方式は学生参加の一つとして良い案ではあるが,その資料整理&次回講義までには多大の労力と時間を必要とする。結局教員の努力・熱意か。
- これに関わる時間は?
- この授業のために(学生からのコメントを全て読む等)どの位の時間費やしていますか?
→実感としては2コマ(180分)程度です。昨年度においては感想ラベルリプライの作成は,ラベルの台紙への貼付はアルバイトの学生にやってもらい,それに私が一言コメントを書き込んで,コピーしていました。出席者が50名程度でしたから,コメント書き込み+コピーで1週当たり1コマあれば十分でした。この感想ラベルリプライ作成とは別に,授業担当班との応対(授業前:企画書・授業後:クラス新聞)の時間が1週あたり1コマ程度ありました。
- 人間形成以外に講義そのものの内容の理解度は深まるのでしょうか。
- 毎回の感想間の学生の学習は進行・深化しているか。
- 長谷川先生のスキンヘッドの理由。
→まだよくわかっていない部分もありますが,変身願望の表現でしょう。
- 「感想ラベル」を使っているのは,関西大学で長谷川先生以外にどれぐらいの先生がいるのでしょうか。
→残念ながらいません。
- いくつの授業でこのような形をとっておられるのか。
- 他の授業もこの方式ですか?
→今年度私が担当する授業―基礎演習(1回生),演習I(3回生),演習II(4回生)は,全て(1)感想ラベルを使用し,(2)学生参画型で行っております。
- ゼミの構成員のレベルが均質な場合は,うまくいくと思うが,そうでない場合,果たして事例発表のようにうまくいくでしょうか。
→私の実感としては,レベルが均質でない方がうまくいくようです。ビデオを撮影したクラスも実に「不均質」な構成になっていました。
- 1つのグループの中に頑張る者がいる一方でサボる者もいると思う。前者が後者に不満を持たないだろうか。
- 女学生は元気がある。無口な男子学生だけならどうなるだろう。
- 学生をグループに分けた場合,中心となって活動する者はよいが,参加をしない消極的な者(他人まかせの者)をどう扱うか。
- 学生のレベルの差により分担に片寄りができないか。
- 学生の授業への参画は毎年同じように積極的に参画しているのでしょうか。年度によって履修する学生によって温度差があるのでしょうか?
→全く同じ方式でやるのであれば温度差が出てくるかも知れませんが,時々の学生の状況を見てやり方を若干変えていますので,温度差はさほど感じられなくなります。
- 消極的な学生に対して特別なアドバイス,指導等はなさっていますか?
- 授業担当班を決めて,企画をさせることは,大変興味深い。この場合,担当班の学生にはよい勉強になるが,それが半年に1回程度では,担当していない時に受身にならないか?
- 7-9人でナマける学生はでてこないか?
- グループ内での仲間割れ,もめ事がおこることはないですか?
- 班に協力しようとしない学生には,どのように指導するか。
- 最後まで授業に参画しない学生にはどう対応?
- 途中でリタイアしてしまう人はいますか?もしいたらどの位?
- 企画グループの中で本当に全員が参加しているか?
- 「学生参画型授業」を実践するにあたっては、履修登録者の最大人数はどれぐらいだとお考えですか?
- 授業の総受講者数は?
- 学生参画型授業の適性人数(効果的な人数)はどのくらいと思われますか?
- 参画型授業ではクラスサイズは何名まで可能か?
- 教室での授業にはどのように考えて活用できるか?
- 受講者数は関心あるもののみの「自然調整」をなされているのでしょうか。
- 効果的な学年,人数はどの程度でしょうか。
- 1-2年生対象の大人数クラスで何か工夫されていますか。
- このような形の授業は出席者数の上限があるとお考えか。
- この形式の授業ができる学生サイズ。
- 100人/クラス,200人/クラス,300人/クラスへスケールアップできるか?
- 学生参画型授業が可能なクラスの規模は?
- 本はどの程度読ませ,班員はそこで得た知識をどのようにして共有するのか。
→テキストを基本として,企画会議の時に自分が探して読んできた資料を持ち寄る形で共有していると思います。
- 先生の役割は?
→必要に応じてレクチャラとコーディネイタの役割を果たしながらも,基本的にはサポータかつスーパーバイザであると考えています。詳しくは「ビデオ『中南米経済論』の制作にあたって」を参照してください。
- グループ毎のテーマは教員が決めるのですか(授業で教えるべきことはある程度決まっていると思いますが)。
→昨年度の場合,前期にテキストの各章を各班で分担して授業を行い,
- テーマの選び方を説明してください。
- 授業内容は企画班と先生の間で決まるのか?
- テーマ設定,グループ割はどの様に決めるのですか?
- テーマは,先生が予め設定されるのですか?
- 感想ラベルの活用はおもしろい。しかし,卒後に資格試験がある場合,最低限の知識を学生に伝える必要があり,学生に立案させる授業方法は本当に可能か?
- 国家試験など一定の課題を覚えなければならない講義では進行が極めて遅くなると思います。卒業研究のゼミではぜひ利用したい。
- 絶対的に教えなければならない基礎知識はいつ,どのように教えられるのですか?
- イキイキ,エネルギッシュな感じ。
- 小学校6年の時,夏休みの課題(自由研究)を発表した時の教室を思い出した。学生の顔が生々している。
- “私の授業”の力強さが印象的。
- やはり,根本的には学生の質の違いがあり,関大レベルだからこそできる授業ではないか。
- 関大の学生だから成り立つ授業ではないか。摂南大では企画チーム自体が教員が指名,おぜんだてしないと成立しない。
- この授業のインプット(投入エネルギー),アウトプット(産出:授業の出来高),およびアウトカム(成果)について普通の授業と比較してください。
- 旧来の方法と,学生参加型では,学生の知識度(深さより範囲)はどちらが良いですか?
- いろんな効果があることは理解できるが,本来の専門内容は,従来型に比べどの程度こなせるのでしょうか。
- 学んで欲しいことを全て授けられるか。(従来型の授業と比べて)
- このような授業で授業計画の内容がすべて消化できるのでしょうか。
- 講義で扱う内容のうち,どの程度が達成できるのでしょうか?また毎回(通年か半年)の達成率は同じくらいでしょうか?量的には少なく掘り下げると思いますが。
- 授業の到達目標どおりに行けるか?
- 授業で伝えたい情報量が限られてこないか?
- 授業の結果と教えたい知識のギャップは?
- 先生の最初予定していた授業の内容の何%ぐらいやれるのか?
- その分,授業内容が減るのでは。
- このような授業が多くの先生で採用されたら学生はどうなるのでしょうか。
- 企画は非常に魅力的。だが,ビデオでの「すべての授業がこうなったらしんどい」というコメントが気になった。教員にとっても同じと思う。トータルでどう考えるのか?
- 「私の授業」という感覚はとても大切だし,そのような授業運営は新鮮です。ただし,「私の授業」とするには学生さんたちの負担も相当なものだと思いますが,どのくらいの科目で,どのレベルまでなら,十分な準備ができますか?
- 多くの先生がこれをやると学生は音を上げるをあげそうだな!
- 全部の授業がこれだと大変というビデオの中の学生の言葉に実感。でも1つはほしいのも共感。自分の授業を反省。
- すべての授業が学生参画型になると学生はかなりの負担?
- 学生参画型の授業,ありがとうございました。みなさんが,各々,「自分の授業だ」というのはよいことだと思います。ところで先生の授業についてのお考えはどうなっているのでしょか。
- まなび,やりとり,ふりかえり等大和言葉にこだわっておられる理由?
- 現在のような参加型授業にたどりつくまでに試行錯誤もあったと思う。どういう点に難しさを感じたか。それをどうのりこえたか知りたい。また,思いがけず効果があったやり方などがあったら教えてほしい。
- 先生の「授業」は「ゼミナール」と同じではないか?
- 大学の「授業」のすべてが「ゼミナール」形式になればよいとお考えですか?
- 講義と演習(ゼミ)との違いはどこにあるとお考えか。
- これはゼミですか?
- この授業を成功させるにはリーダーである教員にある程度のスキルが必要ではないでしょうか。
- はたして,摂南の教員は興味のわく「人」であるのか?
- 最終的な「中南米経済論」の内容習熟度を評価する方法は何ですか?(1)学期末のテスト,(2)日常評価…(1)(2)のいずれですか,また別の方法ですか?
- 成績評価面での難しさなど聞かせていただければ幸いです。
- 評価する人の力量が要るのでは?
- 評価は?
- 少しサークル活動発表的に見えるが,毎回となると,学問体系の観点からどう認識,とらえているか?
- 学生にやる気をおこさせる上で,一番苦労された点はどんなところでしょうか?
- 長谷川先生の中南米経済論を受講した学生が,その後他の授業においてまた学生生活において変化していったか,興味深いです。
- 発表内容の悪い授業に対して学生が退出してしまうことはないのか。その場合どうするのか。
- 学生の誤りを教員が指摘するときの注意は?発表準備の段階で学生が「よくわからないけれど先生からはこう発表しろと言われた。」というふうにならないようにしたい。
- 企画班として授業を担当するのは1学期で何回位ですか?全体のしくみがまだよくわかりません。
- 4月のスタートから,学生が実際にグループ分けされて発表するまでの期間にはいったい授業では何をするのですか?
→ラテンアメリカを題材として学生参画型授業を実践するに必要なスキルを磨き,学生同士が発言・交流しやすい場づくりをします。
- 学生参画型授業を成功させる主な条件は何でしょうか。クラスの受講生数,1年間の授業で取り上げる範囲,参画に積極的でない受講者への対応。
- 娘の小学校時代に行っていたいわゆるグループ学習・調べ学習に同様なものと感じたがその頃の経験はどこに消えたのだろうか?
→学生参画型は,一見すると「グループ学習・調べ学習」と同じに見えます。もちろんそうした要素も学生参画型は含んでいるのですが,それが最大の特徴ではありません。学生参画型の最大の特徴は,学生自らが主体となって授業のPlan-Do-Seeサイクルの全ての局面に責任を持って関わることにあります。学生が授業を企画・準備すること,授業後の評価もクラス新聞という形で学生が行うこと,成績評価基準についても学生と教員が協議して決定することに,学生参画型授業の他にはない特徴が現れています。
- 中南米経済論のレクチャーはしないのですか?いきなりこの方式にての授業ですか?
- 1-2回は新鮮でもマンネリ化しないか?
→しません。
- 資料2頁中段で“メンバーが固定”とあるが,必修でその形式は本当に良いのか?
→必修ではありません。
- 現在,課題として取り組んでいる点があれば紹介してほしい。
- レディネスのない学生はいないか?
→何に対するレディネスなのかわかりませんが,学生参画型に対するレディネスならば大半の学生がないはずです。
- 必修か選択か。
→必修ではありません。
- 新聞は手書きであるべきなの?
→新聞を手書きで書くことと指定しているわけではありません。ただし,感想ラベルを記事中に利用しなければならず,しかも学生はパソコンスキルが手書きよりも仕上がりが良くなるほどにはないので,手書きになっているのだと思います。かえって手書きの方が作成者の味が出ていいとも考えています。
- 学生が参加するという本来のゼミらしい授業になっていたと思う。
- 学生は教員との対話を欲している。しかし,それを引き出すのは難しい。今回の報告を参考にしたい。
- とにかく一度やってみたいと思った。チャレンジ!
- 学生の参画が大事。
- 発言しないではすまされない状況を作り出すのは偉い。
- どこも同じような授業をしているのだと感じた。
- 知識を得ることを必要と感じていない学生である場合は,参画型授業は困難だと思う。
→私のクラスには「知識を得ることを必要と感じていない学生」もたくさんいます(いました)。かえってそうした学生にこそ,学生参画型授業が必要かつ有効であると考えます。学生参画型は「やる気のない」(やる気を見せてはいない)学生のやる気を表出させる授業でもあると考えています。
Author: Shin Hasegawa
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