C.SPSSのデータエディタにつてい

 ここまでの説明は、ExcelからSPSSへデータを持ち込む手順であった。SPSSのデータエディタにデータを直に打ち込むことももちろんできる。その場合には、変数名の定義をデータ入力に先立っておこなわなければならない。なお、データを数値あるいはアルファベットとして入力する場合には、日本語変換を解除して、半角で入力すること。

 

C-0) 概要

 ここでは、データエディタの説明に先立って、SPSSの使い方について、簡単に説明する。SPSSで、Windows用に準備された統計解析やデータ管理オプションでデータ解析することは、このデータエディタ画面から、はじまるからである。SPSSには、シンタックスとしてプログラムを記述する方法もあるが、ここでは、省略する。

 図6のデータエディタ画面には、「ファイル(F)」「編集(E)」「データ(D)」「変換(T)」「統計(S)」「グラフ(G)」「ユーティリティ(U)」「ウインドウ(W)」「ヘルプ(H)」がある。これらの中で、Windowsにほぼ共通したGUIとして、「ファイル(F)」「編集(E)」「ウインドウ(W)」や「ヘルプ(H)」などは、その内容が設定されている。他のものは、SPSS独自なものである。ここでは、それらのすべてを解説しない。実習のデータ解析で使用するものに限定する。

「データ(D)」−>「データの定義(D)」 (変数名、表示形式、列の幅などの指定)

「変換(T)」 −>「計算(C)」 (変数の操作:逆転項目・尺度得点の採点など)

「統計(S)」 −>       (統計的データ解析手法)

「グラフ(G)」−>       (各種のグラフ)

C-1) 変数ビューについて

   データエディタは、「データビュー」と「変数ビュー」の2つから構成されている。これらの選択は、画面左下(ExcelでのSheetの選択に相当)でおこなう。「データビュー」では、図5の画面のように個々のデータを取り扱うことができる。下の図7は、このデータの「変数ビュー」画面であり、ここでは、変数genderを「名義」として設定しようとしているところである。 

図7 データエディタの「変数ビュー」画面

 この図の右端の「測定」は、各変数の尺度水準を定義するセルである。「測定」のセルにカーソルをおいてクリックすると、「名義」「順序」そして「スケール」の選択画面が出てくる。SPSSでは、名義尺度水準・順序尺度水準と感覚尺度水準以上のレベルとを分けて、3種類の尺度水準としての定義をサポートしているわけである。実際の分析では、「測定」の定義は参考程度として、目的にあわせて分析手法の各種の指定をおこなうことになる。

「変数ビュー」画面の機能は、変数の属性やデータビューでの表示内容を指示することにある。たとえば、「型」で変数のセルでクリックすると、セル内の表示が「数値 ・・・」となる。この点線の部分をクリックすると「変数の型」の定義画面が現れる。変数の型として、一般的には、数値(N)である。名義尺度水準の場合には文字型(R)として取り扱うこともある。データ表示を整数の形式にするには、少数桁数(P)に0を半角で記入すればよい。この「変数の型」の「幅」と「少数桁」は、「変数ビュー」画面でも定義することができる。図7では、幅は10、少数桁は2(整数形式)となっている。他には、変数に「ラベル」を当てることも、そして「値ラベル」の設定も可能である。そして、「欠損値」についても特定の値や記号を与えることができる。ここでは、これらについての説明は、省略する。

 

C-2) データ入力

 このSPSSデータエディタにおいて、最初からのデータの入力をおこなうことも、もちろんできる。その場合には、データの修正は、SPSSが稼働するパソコンでおこなうことになる。SPSSがなくとも、Excelはある、という場合には、Excelでの作業を勧める。データの入力については、テキスト形式のファイルにおいても可能である。テキストからExcelへ、あるいはテキストから直接SPSSへということも可能である。

 データの欠損値の取り扱いについて、ここでは、標準的な方法を説明しておく。欠損値の多い調査票は入力しない方がよいことは当然である。欠損の数が少ない場合(あるいは、本来の解析目的の変数で欠損がなく、フェースの一部など解析にあまり影響しない場合)、この調査票をデータから排除することが、望ましくないと判断することがある。このような場合、欠損値をピリオド(もちろん半角)として入力すると、SPSSでは、この欠損処理をおこなってくれる。欠損値の含まれる変数を分析の変数とした場合、この欠損の被験者のデータは、分析から除外してくれるわけである。なお、図6の被験者5のデータは、欠損値状態で表示している。

SPSSでは、Excel形式のファイルやテキスト形式のファイルとの互換性を確保している。卒論などの本格的な大量のデータを取り扱う場合、データの入力作業については、Excelや一般的なテキストエディタでもおこなうことができる。Excelにつては、すでに説明した方法で、SPSSとの間でのデータの交換が可能である。ただし、Excelでは、列の数に制限が(最大256列)あるので、これを超える数の変数の場合には、テキストエディタを使用することを勧める。

テキスト形式の場合には、2つの書式がある。1つは、カンマあるいはタブや空白で区切り記号を入れた「自由書式」である。4ページの余録のcsv形式が、カンマ区切りのファイルに与えられる一般的な拡張子である。もう1つ書式が、各変数について固定した横幅でデータを記述した「固定書式」である。変数の数がExcelで取り扱えないほどに多い場合には、この固定書式が使われる。