北京の東岳廟について

二階堂 善弘


東岳廟は、華北最大の正一教系の廟であるという。

しかし、最近までその中を参観することは不可能であった。東岳廟は朝陽門大街の北側に位置する。元の時代、第三十八代張天師・張留孫(ちょうりゅうそん)によって建立が計画されたが、張留孫は完成前に羽化。 その後、張宗師、さらに呉全節が継承して完成させた。元の至治3年(1323)に竣工す。その後たびたび修改され、現在の建物はほぼ清代の改築になるものである。

東岳大帝は道教や民間信仰で祭祀される神である。その主な仕事は冥界を管理することである。すなわち、あらゆる死者の魂は山東の泰山に行き、そこで東岳大帝の裁きを受け、地獄に落とされたり転生させられると考えられている。東岳は五岳(泰山・華山・衡山・恒山・嵩山)の長であり、古来より帝王らによって祭られていた。

『封神演義』において、黄飛虎を東岳大帝に当てたため、一般に黄飛虎が東岳であるとの説も広まった。黄飛虎は、『武王伐紂平話』にも登場する将軍であり、本来は東岳とは何の関係もない。ただ、『封神演義』の流行により、この説はかなりの信憑性をもって語られている。

もっとも、泰山自体ではその後、娘である碧霞元君の信仰の方が盛んになったと言われる。また息子の炳霊公は、泰山三郎として有名な火神である。

正門


戟門

この門は、またの名を瞻岱門、あるいは龍虎門と称す。中には龍大将・虎大将、それに太保らの像が安置されている。


三茅殿

ここでは、三茅真君を祭る。


石碑群

東岳廟には数多くの石碑を蔵する。すべてで140基以上であると言う。明清王朝の皇帝や文人の碑が多いが、張留孫の建立になる元代の碑も蔵する。


七十二司

七十二司は冥界の官吏である。実際には七十六司ある。地獄の裁判の状況が描かれる。


炳霊公殿

炳霊公は東岳大帝の三男。泰山三郎と称される。『封神演義』では黄天化を炳霊公に当てているが、これも本来は関係がないものである。


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