[氏名]宮本要太郎 比較宗教学専修 [専門分野] 宗教学・民衆宗教・比較宗教論
新入生へのひとこと |
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私は2008年度の1年間、ロンドン大学およびハワイ大学にて在外研究に従事しました。外国で暮らしてみて改めて感じたことですが、現代世界はかつてない速度で変化しています。インターネットの普及はそれをさらに加速させているといえるでしょう。しかし、そのような状況であるからこそ、新入生の皆さんには、氾濫する情報に振り回されることなく現実に何が進行しているのかをしっかりと見極め、同時に大局的な立場から変化の方向性をきちんと見定めることが求められます。その意味で、在学中は複眼的な視点の構築に取り組んでみてください。 |
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講義のテーマと内容 |
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・「宗教を歩く」 現代の日本人の大多数は「無宗教」であるという言説が昨今よく聞かれる。しかし、はたしてそうであろうか。この場合の「宗教」が基づいているのは、独自の教義を信じている人々がその信仰を実践し、その結果、排他的で独善的になりがちであるという、ステレオタイプ的な「宗教」観ではないだろうか。 この講義では、たとえば具体的な祭の諸相を紹介したり、四国遍路の実態に触れたりしながら、実は「宗教」とは私たちにとってもっと身近なものであり、私たちの多くがそれと意識せずにふだんから実践しているものであることを確認したい。 ・「ハワイの日系宗教」 皆さんはハワイについてどのようなイメージをお持ちだろうか?「常夏の海と太陽」「フラダンス」「サーフィン」といったところだろうか。一方で、ハワイの人口の約4分の1には日本人の血が流れている事実をどのくらいの日本人が認識しているだろうか? ハワイには初詣もあれば盆踊りも盛んである。その意味でハワイは、日本の外ではもっとも「日本的」な社会といえるかもしれない。しかし、そこには「日本的」なもののハワイ的な展開を見出すことが可能である。そのようなダイナミックな動きを、宗教を媒介項として具体的に考えてみよう。 |
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リレー講義の参考文献 |
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○「宗教を歩く」に関連して 宇野正人監修『祭りと日本人』青春出版社、2002年。 鎌田東二『聖地感覚』角川学芸出版、2008年。 豊島修『死の国・熊野』講談社、1992年。 森正人『四国遍路の近現代』創元社、2005年。 八幡和郎、西村正裕『「日本の祭り」はここを見る』祥伝社新書、2006年。 旅行ペンクラブ編『大阪の祭』東方出版、2005年。 ○「ハワイの日系宗教」に関連して 井上順孝『海を渡った日本宗教―移民社会の内と外』弘文堂、1985年。 後藤明『ハワイ・南太平洋の神話』中公新書、1997年。 中牧弘允『日本宗教と日系宗教の研究』刀水書房、1989年。 前田孝和『ハワイの神社史』大明堂、1999年。 森仁志『境界の民族誌――多民族社会ハワイにおけるジャパニーズのエスニシティ』明石書店、2008年。 山中速人『ハワイ』岩波新書、1993年。 |