関西大学 孝忠研究室

Research Life of Professor Dr. N. Kochu

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大学の現状と将来的なあり方について

むすびにかえて――これまでに寄せられたご意見・ご質問をふまえて

  これまで、「はじめに」を含めて10回にわたり、この連載を続けてきた。最後に、「むすびにかえて」として、これまでに直接あるいは間接的にお聞きしたご意見、ご質問のいくつかについて若干繰り返しになるところもあるかもしれないが、できるだけ簡潔に述べてみたい。ただ、質問などは「一般論」としてではなく、わたしの所属する関西大学の「現状とあり方」にかかわるものが殆どなので、事情をご存知ない方には若干分かりにくいところもあるかもしれない。その点については、ご容赦いただきたい。

   大学における多様で豊かな教育・研究を持続的に発展させるために
  大学における教育・研究を持続的に発展させるためには、目先の課題をフォローするだけでも大変な状況にあることは、十二分に了解しつつも、なお教育・研究ファカルティの自発性・自立性をかけがえのないものとして生かすための配慮と工夫が、長い目でみれば持続的継続的な次世代への発展につながると考える。そして、そのための教育・研究サポート、人的・物的施設設備の充実がはかられなければならない(第4話、第9話など参照)。

   良きライバルとしての大学間競争と相互協力・連携
  「競争的環境」のなかで、弱肉強食的な感覚で、個別大学の「一人勝ち」をはかっても成功しないし、その大学の社会的信頼と社会的評価を高めることはできないと思われる。「多様で豊かな」人的資源をもつ関西大学は、それぞれの個性をさらに活かすような教育研究環境の整備に努めるべきであろう(第9話など参照)。また、国内外の一線級の研究者とともに、先端的研究を担う試みがあればそれを全面的に支援する力も、関西大学はもっている(第3話、第7話など参照)。切磋琢磨しあう個別大学間競争も重要だが、関西大学が重要な一翼を担いうる世界最先端の研究にかかわる長期的な戦略も必要である。

   学長のリーダーシップの下、教学主導の大学運営を
  私立学校法などの改正を受け、学校法人関西大学の寄附行為は改正され、また、関西大学の意思決定システムの大きな変更、国際部など専任教員が所属する新たな組織も設けられた。ただ、従来の「車の両輪」論(教学と経営がその役割を分担し、相互に尊重しあうとともに、干渉しない)が大きく変わったことが当事者にも十分に理解されておらず、いまだに「教学と法人」という二者が別の対立するものであるかのような言い方も残っている(第6話、第8話など参照)。
とりわけ教員の側に従来の意識が強いし、「せっかく」?理事となった人々にもなお当事者意識が希薄である。理事会は、学校法人の最高議決決定機関であり、その議決・決定にかかわる理事は、その選出基盤への政治的道義的責任はもとより、「法的」にもその責任を問われうることは明確である。提案されたものに、質問もせず賛成するだけなら、その存在意味はない(提案権がないことを理由に審議権、議決権に責任をもたないかの誤解すらみうけられる)。教学主導の大学運営の実現へ向けて、その責務を少しでも考えるのなら、その場にいることの意味と意義を十分に自覚して行動すべきであろう。
学長は、寄附行為上は、1理事にすぎないが、関西大学の全構成員(学生、職員を含む)の参加による選出手続きを経て、全教員の直接選挙によって選ばれる文字通りの「関西大学の代表」である。理事会におけるその発言、行動、そして1票は、かけがえのない重さを持ったものだと思う。関西大学の現状では、まず、学長の見識と節度ある行動によってしか変革は始まらない(長期的には「自治と分権」を基本とすべきだとも考えるが、現状を変えるきっかけはここにしかないと考える)。リーダーは孤独である。「他の人の意見を聞いて考え、判断する」というのは、一般的な運営論としては一定の合理性を持つかもしれないが、現在の重要な局面では、「誰かの言いなりになります」と自ら述べていることになると思うのだが…。

2009年7月24日

はじめに――「大学の現状と将来的なあり方について」語るにあたって(09/6/29)

第1話 「『質』の向上に努力しない大学は淘汰されるべき」だとの提言について(09/7/2)

第2話 法学部における教育内容、教育方法改善の歩み――個人的回想(09/7/3)

第3話 地球市民社会(Global Civil Society)にはばたく人材の育成をめざして(09/7/4)

第4話 教育・研究サポート体制の充実――とりわけ専任事務職員の充実を(09/7/6)

第5話 大学の「使命」、「ビジョン」そして「戦略・計画」(09/7/9)

第6話 大学(法人と教学)のガバナンス(1)(09/7/10)

第7話 Facultyの基盤としての大学「研究所」(09/7/13)

第8話 大学(法人と教学)のガバナンス(2)(09/7/14)

第9話 手段としての「多様性の確保」(09/7/23)

むすびにかえて――これまでに寄せられたご意見・ご質問をふまえて(09/7/24)

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