本を読もう!映画を観よう!11

2024.6.23開始、2024.7.1更新)

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世の中にはおもしろい本がたくさんあるのに、学生たちの中には「活字嫌い」を標榜して、読もうとしない人がたくさんいます。貴重な時間をアルバイトと遊びですべて費やしてしまっていいのでしょうか。私が読んでおもしろかったと思う本、一言言いたいと思う本を、随時順不同で紹介していきますので、ぜひ読んでみて下さい。(時々、映画など本以外のものも紹介します。)感想・ご意見は、katagiri@kansai-u.ac.jpまでどうぞ。太字は私が特にお薦めするものです。

<社会派小説>

<人間ドラマ>

<推理サスペンス>

<日本と政治を考える本>

<人物伝>1002文芸春秋血族が語る昭和巨人文春文庫

<歴史物・時代物>

<青春・若者・ユーモア>

<純文学的小説>

<映画等>

<その他>1001 カタログハウス編『大正時代の身の上相談』ちくま文庫

<最新紹介>

1002.文芸春秋編『血族が語る昭和巨人伝』文春文庫

 昭和が終わった段階で、昭和の有名人60人について家族が語るという企画で作られた本です。数頁ずつで語られているので、それほど深みはないのですが、軽く「へえー、そういう人だったんだ」と思った個所は何か所かありました。一番驚いたのは、プロ野球の監督だった三原修が子どもたちに大学や高校に行ったら「社会学を学びなさい」と言っていたという部分でした。この文章を書いた(あるいは喋った)娘さんの解釈では、「社会勉強をしなさい」という意味だということですが、そうだとしても社会学をこんなところで推奨してくれてたんだとちょっと嬉しくなりました(笑)

 あと、やはり昭和世代の男たちは働き過ぎだし、それを妻が支えていたというパターンばかりで、改めてそういう時代だったなということも思わされました。家庭では何もしなかった、あるいはわがままだったという男性が多く、そういう生き方でも世に残る仕事を残しさえすれば、立派な人だったと言ってもらえる男たちにとっていい時代だったなと改めて思いました。(2024.7.1

1001. カタログハウス編『大正時代の身の上相談』ちくま文庫

 999で紹介した『裁かれる大正の女たち <風俗潰乱>という名の弾圧』の流れで、この本も読んでみました。『読売新聞』に大正時代に掲載された「身の上相談」とそれに対する記者の回答をピックアップして掲載した本です。同じ大正時代を扱った本なので、基本的な印象は『裁かれる大正の女たち』と似たようなものですが、少し違うのは、こちらは男性からの相談も載っていて、男性も結構生きづらそうだなという印象を持ちました。ほぼ相談者は若い人が多いので、若い人の悩みということですが、結婚などは男性も自分で自由にできたわけではなく、親の言うことを聞かなければならず、本当に望んだ人と結婚できていないというケースも多々あったようです。この本は悩んでいる人ばかりが登場するわけですから、悩んでいない人もたくさんいたのかもしれません。しかし、基本的には制約が多い社会だったんだろうなとは思います。それでも、この後やってくる昭和戦争期に比べたら、こういう悩みを持てただけ良い時代だったとも言えるのかもしれません。(2024.6.23