「親ばかフランス紀行'94」
(6)−国立自然史博物館(Museum National d'Histoire Naturelle)−


 1994年6月24日(金) 快晴 暑い

   「パンだけはいやだあ」と評される朝食の後、外出。

 植物園 (Jardins des Plantes)へ。
 敷地内にあるパリ市内唯一の動物園に行こうと思って来たのだが、別のものに目が移った。
ステゴザウルスの実物大の模型である。 この「招きステゴザウルス」が、手招きならぬ背中のヒレ招きしている国立自然史博物館(Museum National d'Histoire Naturelle)の中に息子と入った。

一階は、哺乳類その他現存する動物の骨がぎっしりと展示されている。 少し、異様な雰囲気だ。
二階に上がると壮観。 恐竜たちの骨が所せましと遠慮なく展示されている。化石の実物もあれば、化石の複製もある。 トリケラトプスの3本の角がにょきっとついた骨。
 映画「ジュラシックパ−ク」のマ−クでお馴染みのティラノサウルスの巨大な頭骨。 その他さまざまな恐竜の骨が、出し惜しみされることなく、並べられている。
  恐竜大好きの息子も、この豪快な展示室の光景には、さすがに圧倒されている。 3階のバルコニ−からは、2階の恐竜の展示を上から眺めることができるようになっている。
 2階の展示室の入口のところでは、先生に引率されて見学にやって来た小学生たちが輪になって座り、先生の説明に耳を傾けている。

 女性の先生:「さ−て、みんな、恐竜たちは、今でも生きてるのかなあ?」
   小学生たち(一斉に):「もう生きてな−−い。」
      先生:「それでは、恐竜たちはどうなっちゃたのかなあ?」
 一女子児童(手を挙げて、指名されると立ち上がって):
       「化石になりました。」
     先生:「その通りですね。 さて、この博物館にある恐竜の化石は...」

      こんなやりとりを聞きながら、展示室を出た。
 記念に、10フランで、好きな展示の絵はがきを3枚選べる自動販売機で、トリケラトプスの頭骨とブロントサウルスの骨とティラノサウルスの想像図の3枚を購入した。 息子は、この自動販売機の操作が気に入ったようだ。

 博物館の外は、植物園。 木陰に並ぶベンチにのんびり人々が座っている。花に水をまくスプリンクラ−が涼しげに回っている。
 水をかけられないように、うまくスプリンクラ−の横を駆け抜ける遊びを親子で楽しんだ。 そうこうしているうちに知人との昼の待ち合わせの時刻が近づいてきた。

 今思えば、国立自然史博物館の飾り気のない素朴な恐竜の骨の展示はなかなか良かった。
かくして、現在、大阪南港で開催されている「世界最大の恐竜博」に、2,400円も出して、子供を連れて行く気はなくなった。  国立自然史博物館の入場券は、船便に入れて送ってしまったので、今手元になく、入場料がいくらか思い出すこともできないのだけれど、500円位で、2,400円もしなかったことだけは確かなのです。

Katsuyuki Kamei


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