「親ばかフランス紀行'94」
(20)アルセ村訪問記(3)


楽しい時間というものは、あっという間にすぎるもので、Poncelet氏の新しい農園を見せてもらうと、そろそろ駅に向かわねばならない時間となった。

 息子は「帰りたくないなあ」と名残惜しそう。 しかし、Colineちゃんは、歩き疲れて眠くて泣き始め、息子は、つまずいて転んで泣き、最後は、文字通り、涙の別れとなった。
 Poncelet氏にNiort駅まで送ってもらう。
 

 フランス=パリというclicheを抱いていた妻には、日帰りではあったが、強烈なフランスの田舎の家庭を体験できたことは、かなり有意義なことであったと思う。

Niort駅から、ToursのSt. Pierre des CorpsまでCorailに乗る。 途中Poitiersで待ち時間。息子お気に入りの駅の自動販売機で6フランで売っているポテトチップスを買いに行く。 お目当てのポテトチップスが売り切れていたので、別のスナックを買おうとお金を入れたところ、うまく機械が作動しない。
   そこに、ちょうど、「お金ちょっとくれへんか−」と寄ってきたDenis Lavant風の男が、「落ちてけえへんねんな」と言いながら、自動販売機を叩いてくれた。 するとすごい警報機の音。 結局、もう一回硬貨を入れると、前のといっしょにふたつ落ちてきた。Denis Lavant氏には、何だか助けられたような気がして、お望み通り小銭を分けてあげた。 「どうも、ありがと」と彼は去っていった。

St. Pierre des Corps駅着。近くに駐車しておいたAudi 100で、Azay-le-Rideauの宿、Chateau du Gerfautに戻る。 車の運転に少し慣れた。 しかし、スピ−ドはこわくて出せない。 1車線のところで、「遅いなあ」って感じでついてきてい車が、2車線になった所で、やっと私の車を追越していく。 のろのろ運転のおわびに、後ろから、日本式に手をあげて、「ごめんね」ってやったら、向こうも、右手で呼応してくれたのは、何だか面白かった。

 Azay-le-Rideauからの日帰り「アルセ村訪問」は、せわしいながらも、非常に楽 しかった。

Katsuyuki Kamei



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