「親ばかフランス紀行'94」
(15)  − 冷汗2題(1) バッテリ−あがり −>


6月26日(日) 快晴

 この日は、日帰りで、ニオ−ル郊外のアルセ村の祖父母の許に預けられた3歳のコリ−ヌちゃんという女の子に会うに行く予定。 コリ−ヌちゃんは、パリ郊外在住の私の知人夫妻のお嬢さんで、すでに息子と象形文字、クレヨン画での手紙のやりとりがあり、写真も交換している。
   「フランスなんか行きたくない」という息子に、「フランス行ったら、コリ−ヌちゃんに会えるよ」と言って、連れてきた経緯がある。
    St. Pierre des Corps駅まで車で行って、TGVで、ニオ−ルまで行く計画。
 

 朝食後、いざ出発、と思いきや、どうも車がおかしい。
 キ−を回すとスカッ、スカッ。 あ。 これは、いわゆるあのバッテリ−があがった状態。

 なんとスモ−ルランプがつけっぱなしの状態。 
 

  そう言えば、昨日車から降りるとき、ビ−ッツと音がしたので、アホな私は わざわざ助手席側から降りたのだ。 今にして思えばあれはライト点けっ放し の警告音だったのだ。 初めて「左ハンドル・右側通行」した直後で舞い上がっており、よく考えもせずに車から出てしまったドジな私。

 宿のYves Montandによく似たご主人に状況を告げる。すると、同宿のアメリカの演劇の先生がやって来て、「あんたも車のトラブルかいな。 こっちはパンクや。」同乗者たちにとりあえず、馬のいる牧場で馬と戯れながら待ってもらうことにする。「何とかなるよ」という私の手に汗。

この騒ぎにChateau du Gerfautの裏手の民家から、ボリス・ベッカ−によく似た青年が出てきてくれた。

「どないしはったん?」
「エンジンがかからないんですよ。 一晩中、ライトを点けっ放しにしてしまったんです。
(J'ai allume la lumiere toute la nuit...)」
  「おやまあ、一晩中、ライト点けっ放しにしはったんかいな。
(Ah, vous avez allume la lumiere toute la nuit.)」 
 

しばらくすると、今度は、元近鉄のチャ−リ−・マニエルに似た赤ら顔のおじさんが軽トラックでかけつけてくれた。 ベッカ−氏がマニエル氏に「ケ−ブルあるか?」と尋ねると、マニエル氏が、「あるで」と天の声。   ベッカ−氏が、Audi100のボンネット内を見渡す。 ところが、普通なら、すぐにそれとわかるバッテリ−らしきものが見当たらない。「マニュアル出してみい」ということで、マニュアルを見てもらって、ようやくどこにケ−ブルをつないだらいいのか判明。

 さて、マニエル氏の軽トラックとケ−ブルでつないでもらって、何とかエンジンを始動させることができた。 この間約20分。
   宿の主人が「すぐにエンジン切ったらだめだよ」と送りだして下さった。
 

 いきなりの大ドジに他人事なら大声で笑いたい気分であった。

Katsuyuki Kamei


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