第7章 消費課税

第1節.消費課税の現状と仕組み
(1)消費課税の現状


p110
表7−1 消費課税の概要(国税)


国税に占める比率(令和5年度予算)
消費課税    39.7%     
消費税     31.4% 
酒税      1.6%
たばこ税等   1.4% 
 揮発油税等  3.0%
 自動車重量税 0.9%
 


図7−1 国民所得に占める消費課税(国税・地方税)の割合

p111   イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン ヨーロッパの比率が高い




(2)消費税の仕組み
図7−2 課税ベースの広い間接税の諸類型
・多段階課税
  付加価値税  前段階税額控除方式(インボイス方式、伝票方式)
         仕入控除方式(アカウント方式,帳簿方式)
  取引高税
・単段階課税
  小売売上税
  卸売売上税
  製造業者売上税

税額の計算方法
 取引高税の仕組み
   売上げ×税率=税額
数値例 税率10%
  課税前 1000円→2000円
  課税後 1000×(1+10%)=1100円   (1100+1000)×(1+10%)=2310円   租税の累積  


p.113
図7−3 消費税の仕組み

   
税率10%の場合
 納税額=税込み売上額×10/110−税込み仕入額×10/110



(3)非課税措置

P116 表7−2

社会政策上の配慮 教育の一部、医療など
消費税になじまない 土地の取引、貸付金等の利子(銀行の手数料は課税)、保険料等


(4)複数税率

改正前 改正後(平成元年10月以降)
国税 6.3% 標準税率 軽減税率
7.8% 6.24%
地方税 1.7%
(消費税額の17/63)
2.2%
(消費税額の22/78)
1.76%
(消費税額の22/78)
合計 8.0% 10% 8.0%




P116 表7−2
    
    ヨーロッパは複数税率    逆進性の緩和措置

f


(5)中小企業の特例措置

 消費税導入時  免税点制度 簡易課税制度  限界控除制度

免税制度 納税を免除、ただし仕入れに含まれる税額を控除できない。 

P118 図7−4 免税による益税の発生


免税業者の粗利益が200円増加している。→益税



簡易課税制度

P118 図7−5 簡易課税制度の仕組み


簡易課税と本則による課税は、選択可能なため、簡易課税制度のもとでは必ず益税が発生


限界控除制度 
 免税点を少し超える事業者に恩恵を与える制度
 平成6年度改正で廃止

P119 図7−6 中小企業に対する特例措置の推移

出所:財務省ホームページhttps://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/111.pdf



   

第2節.消費税改革の課題
(1)益税問題
  中小企業に対する特例措置の見直しで益税規模は縮小


P121 図7−7 主要国における免税点制度、簡易課税制度の概要

      ドイツ、フランスは簡易課税制度なし

      
(2)複数税率化

消費税の逆進性:所得が上昇するにつれて、税負担率が下落

逆進性の緩和措置
・(旧)民主党案   給付付き税額控除

・自公案    複数税率化    

消費税率の10%引き上げに伴い複数税率化を採用

p.123 図7−8
  複数税率化による逆進性緩和効果は小さい
 
(3)消費税の使途



消費税の「福祉目的化」
 平成11年度予算から、国の消費税の収入(地方交付税分を除く国分)を基礎年金、老人医療及び介護に充てることを予算総則に明記
(予算総則とは、歳入歳出予算などのほかに毎年度の財政運営に必要な基礎的事項について、条文形式で規定を設け、その年度の予算の一部として国会の議決を求めるもの)




【財政学の館】トップページへ 【Web版入門財政】目次へ