1.国民所得の決定と財政
(1)ケインズの財政政策
1930年代の大恐慌
赤字財政による有効需要創出を提唱
(2)国民所得の決定
Y=C+I+G (1)
C=a+bY (2)
1
Y=------(a+I+G) (3)
(1-b)
Yが完全雇用所得である保証はない
インフレ・ギャップ 需要超過
デフレ・ギャップ 需要不足
フィスカル・ポリシー、裁量的財政政策
(3)租税関数の導入
所得の定義式 Y=C+I+G (1)
消費関数 C=a+b(Y−T) (2)
租税関数 T=tY (3)
1
Y=-------(
a+I+G)
1-b(1-t)
ΔY/ΔG=1/{1-b(1-t)}
ビルトインスタビライザー:景気の自動安定装置
2.財政政策と金融政策
(1)IS−LM分析
財市場の均衡
Y=C+I+G (1) 所得定義式
C=a+bY (2) 消費関数
I=d−er (3) 投資関数
貨幣市場の均衡
Md=Ms (4) 貨幣需要=貨幣供給
Md=kY+(g−hr) (5) 貨幣需要関数
Y:国民所得 C:消費 I:民間投資 G:政府支出
T:所得税収 a:基礎消費 b:限界消費性向
r:利子率 Md:貨幣需要
Ms=180 a=40 b=0.6
d=50 e=6 k=1/3 g=170 h=8 G=0
IS曲線
Y=C+I+Gに(2)(3)を代入
Y=a+bY+d−er+G
er=−Y+bY+a+d+G
er=−(1-b)Y+a+d+G
r=-(1-b)/e*Y+(a+d+G)/e
=-(1/15)Y+(a+d+G)/6
=-(1/15)Y+15
LM曲線
M=kY+(g−hr)
hr=kY−(M−g)
r=(k/h)Y−(M−g)/h
r=(1/24)Y+(170-M)/8 (6)
均衡国民所得
(2)租税の導入
Y=C+I+G (1) 所得定義式
C=a+b(Y−T) (2) 消費関数
T=T (3) 定額税
I=d−er (4) 投資関数
(3)財政政策と金融政策の有効性
古典派の想定 垂直なLM曲線
↓
投資の感応度が高く、乗数効果が1に近くなる
財政政策が無効、クラウディング・アウト効果
ケインズ派の想定 水平なLM曲線
(4)統合命題
政府支出と民間支出に代替性を認め、民間の経済主体が両者を統合して意志決定をおこなう
→政府支出は民間消費にマイナスの影響をもたらす
C=a+b(Y−T)−αG 0≦α≦1 (2) 消費関数
T=tY (3) 租税関数
I=d−er−βG 0≦β≦1 (4) 投資関数
(5)政府の予算制約の導入
政府支出の拡大が公債発行で調達されるか、租税で調達されるかによって乗数効果が異なる
G−T=ΔB 政府の予算制約
ΔB:公債発行の増加分
財政赤字は民間の消費に影響を与える:資産効果
C=a+b(Y−T)+εB ε>0 消費関数
公債残高の増加は貨幣需要を増加させる(資産が多いほど、人々はそれに見合った貨幣を保有しようとする)
L=kY+(g−hr)+ηB η>0 貨幣需要関数
財市場の均衡
Y=C+I+G (1) 所得定義式
C=a+b(Y−T)+εB (2) 消費関数
T=t(Y−D) (3) 租税関数
I=d−er (4) 投資関数
資産効果によりIS曲線は右にシフト
LM曲線は左にシフト
(6)合理的期待形成
人々が経済政策の影響についてあらかじめ「確率的な意味で」正確に予測することが可能であり、また、その情報にもとづいて「合理的」に行動するならば、その政策の効果は消滅する
→公債の発行は将来の増税を招く
(6)ブキャナン・ワーグナーの批判
ケインズ政策では、拡張政策のみが政治的に採用されやすい
3.総需要・総供給モデル
IS−LM分析は、インフレーションの問題を扱えない