研究計画書
医療に係る消費税非課税措置について
18M3058 川村 和江

論文構成
 1.はじめに
2. 医療にかかる税制上の課題
2.1消費税概要 
2.2医療機関に関する消費税の取扱
3. 判例研究
4. 医療の損税分析
4.1分析手法
  4.2分析結果
  5.医療による逆進性緩和
6.おわりに
参考文献

論文の目的
 2019年10月に消費税率10%の増税が実施されようとしている中で、現状の消費税制度では、教育費、医療、土地取引などの非課税項目が設定されている。教育費に関しては、授業料を値上げによって消費税対策することができるが、医療においては、診療報酬は公定価格により値上げすることができない。また、医療機関は、社会診療報酬が患者の負担を軽減することが目的されているため、消費税を非課税事業者の納税義務がないが、仕入れの段階で仕入業者に対し消費税を支払っている。そのため、医療機関が消費税を負担することになっている。課税項目を扱う業者は仕入税控除を利用できるが、非課税項目を扱う業者は仕入税控除を利用することができないため、消費税を被っているのが現状である。これに対し日本医師会は、「損税」が発生していることを主張しているが、しかし、厚生労働省は診療報酬で消費税を含めて診療報酬をあげているため、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保に関する適切な措置をしていると主張している。医療機関においては、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当額が、消費税率の増加改定された場合、消費税の取扱いについてなんらかの措置がとられない限り、病院経営に多大な影響を及ぼすことになると推定される。本稿は、医療費拡大における医療非課税に関する「損税」について研究する。

先行研究
鈴木(2013)よれば、医療支出に対する課税について、引き上げがないかぎり、消費税増税
と国民医療費の拡大は医療機関の増大させることになると述べている。分析方法は、鈴木(2013)の手法によって、医療機関の損税を推計する。

分析方法
 医療支出非課税措置によって発生する損税の分析については、鈴木(2013)によれば、『産
業連関表』によって医療機関の損税を推移している。鈴木(2013)の手法を援用することに
よって分析をする。


【参考文献】
上田淳二・筒井忠(2011)『消費税の税収変動要因の分析 産業関連表を用いた需要項目別の税額計算』京都大学経済研究所.
金子宏(2014)『租税法第十九版』弘文堂.
厚生労働省(2012)「診療報酬調査専門組織・医療機関等における消費税負担に関する分科
会の設置について」(2012年7月27日資料).
鈴木善充(2013)「医療支出に対する課税について」『生駒経済論叢』第11巻第2号,pp.65-
85.
鈴木善充(2011)「消費税における益税の推計」『会計検査研究』No.43,pp46.
日本医師会(2012)「社会保障・税一体改革素案」に対する日本医師会の見解」『定例記者会見資料(2012年2月1日)』.
橋本恭之(2010)「消費税の逆進性とその暖和策」『会計検査研究』No.41,pp35-52.
橋本恭之(1994)『税制改革の応用一般均等分析』関西大学出版部.
橋本恭之(1998)『税制改革の応用一般均等分析』関西大学出版部.
橋本恭之(2001)『税制改革シュミレーション入門』税務経理協会.
橋本恭之・鈴木善充(2012)『租税政策論』清文社, pp.143-189.
橋本恭之(2013)「地方消費税の改革-清算基準について-」『会計検査研究』No.41,pp55
-72.
安部和彦(2015)『消費税の税率構造と仕入税額控除』白桃書房