片桐“社会学”塾
片桐社会学塾は、社会で暮らしていく上で社会学を活かしていくことを考える塾です。詳細に関しては、下記の「開塾にあたって」や「片桐塾の歴史」をご覧ください。関心をお持ちの方は、katagiri@kansai-u.ac.jpまでご連絡ください。
(2017..3.5開設)(2024.9.15更新)
【第16回片桐塾参加者の集合写真。2024年9月14日撮影】
社会学の塾を開こうという構想を思いついたのは、もう10年以上前の50歳前後の頃だったと思う。無趣味の私は、定年になったらすることが何もなくなるので何か考えようと思い、「そうだ、塾を創って、そこに若い学生も社会人も入れるようにして、社会で生きていく上でどう社会学を役立てるかとか、世の中で起きていることを社会学的に考察するといった勉強会をやろう」というアイデアが頭に浮かんだ。終了後は一緒にお酒を酌み交わし、時には町歩きや旅行に出かけるのもいいなと、夢は私の心の中でどんどん広がっていた。
ただ、開塾するのは定年後あるいは新ゼミ生が入らなくなる定年前年くらいからにしようと思っていたので、早くて2025年スタートのつもりだった。それが8年も早まった。最終的な引き金は、教え子に焚きつけられたことによって引かれたが、その前段がある。それは、最近顕著に感じられるようになってきた、社会学の魅力が伝わらなくなっているという危機感だ。
昨年、今年と少し戻したが、それ以前は8年連続で関西大学社会学部社会学専攻は、一般入試での志願者を減らし続けた。一般入試の志願者は少し戻ったものの、社会学不人気時代はまだ続いていると考えている。高校生や受験生に対する働きかけは考えうる限り様々な形で行ってきた。正直言ってもうあまり打つ手がないというのが実情だ。
なぜこんなことになってしまったのだろうか。与えられた課題だけをこなすことしかしてこなかった「ゆとり世代」には、問題を発見し、調べ、考えることを楽しむ社会学が、ただ面倒な、よくわからない学問と映っているのかもしれない。そして、もうひとつ考えうるのが、大学時代に社会学を学び、社会学士として卒業した社会人たちが、社会学の魅力を語れていないのではないかということだ。
私は、社会学は社会を生きていく上で、本当に役に立つ有用な学問(思考法)だと強く信じているし、私自身が人生を大きく失敗せずにここまで生きてこられたのも、社会学を会得したからだと本気で思っている人間だ。もし私のように思い、それを言葉にして語ってくれる人が増えれば、社会学の魅力はもっと一般の人たちに伝わるのではないか。
そう思って、HPの「つらつら通信」に「社会学は面白いよと伝えてください」というタイトルで、「みなさん、社会学のミニ伝道師になってください」と書いた。そして、それを読んだ卒業生から「ミニ伝道師になるために、社会人のための授業をしてほしい」という声が届いた。
そうだ。別に2025年まで待つ必要はないなと思い始めた。最近、学生たちが刺激的な存在でなくなってきたと感じていたところでもあった。分析力が不十分なのは以前もそうだったが、かつては若者特有の鋭敏なアンテナから生まれる発想力に刺激を受けることも少なくなかった。それが最近はほとんどなくなった。正直言って、現役学生と付き合っているだけでは、物足りないという感覚を私自身がここ最近急速に強めていた。
私自身ももっと刺激がほしい。そして、実社会で生きる社会人たちとともに、どんなことをすれば、社会学が有用で生涯学ぶ価値のある学問(思考法)であるかを実感できるのかを考えてみたい。それが、今回開塾を決めた思いである。
こんな風に意気込まれると、「そこまで社会学に思い入れはないし……」と逃げ腰になる人もいるかもしれない。でも、そこは安心してほしい。社会学の専門用語なんかひとつも知らなくても、社会学はできる。なぜなら、社会学とは社会について考える学問であって、誰しもその社会で生きているのだから。自分の身の丈で考える様々なことが、悩みがみんな社会学になっていく。難しい議論なんかできなくても大丈夫だ。自分の身の回りで起きていること、世間で起きていることに関心さえあれば、社会学はできる。そんな気楽な気持ちでスタートしよう。
この塾では、私は100%教える側の立場ではいられないだろうし、いたくもない。しばしば、塾生から教わることがあるのを楽しみにしている。社会人がほとんどのこの塾では、塾生それぞれが仕事を持っていて、その分野のプロだ。私のような大学や学会という世界しか知らない人間より、はるかに広い世界を知っている人ばかりだろう。無知をさらけ出すのは一般的には恥ずかしいのだが、この場では楽しみたい。知ったかぶりはせずに、新たな知識が得られることを楽しみたい。塾生すべてがそういう思いでここに参加してもらえればと思う。
誰が何を知っていて、何を知らないのか、何に興味があって、何に興味がないのか――興味がないのは実は知らないことによることが多い――、それを共有しよう。そのためにはこの塾に参加した人はみんな積極的に喋ってほしい。聞いているだけでも勉強になるだろうが、わからないことはわからないと言えた方がより理解が増すはずだ。「沈黙は金ではなく、ただの鉛」という言葉は、私がいつもゼミ生たちに伝えているものだが、これはこの塾でも掲げたい。恥ずかしがらずに遠慮せずに積極的に議論に加わろう。
では、スタートしよう!
2017年3月4日
「片桐“社会学”塾」塾長・片桐新自
(17.2.4)片桐塾の立ち上げを決め、呼びかけを始める。
(17.3.4)第1回片桐塾を開催する。参加者17名(塾生は、この時点で33名)。
【「第1回プログラム・第3学舎ツアー」参加者の集合写真。2017年3月4日撮影】
第1回プログラム(@関西大学千里山キャンパス第3学舎B201(B)教室)
・1講目(13:00-14:20)
開塾にあたって(片桐)
自己紹介を兼ねて各自の問題関心と社会学観を語る(全員)。
・2講目(14:40-16:00)
関西大学社会学部50年を知る講義と第3学舎ツアー(講師兼ガイド役:片桐)
・3講目(16:20-17:40)
時事問題を社会学的に考える
(前半)世界はどこへ向かうのか?トランプ現象を考える (問題提起役:影山健)
(後半)「ワーク・ライフ・バランス」を考える(問題提起役:神田大地)
・4講目(18:00-21:00)
懇親会(飲みながら、ざっくばらんに今後の企画について話し合う)@白木屋
(17.9.9)第2回片桐塾を開催する。参加者24名(塾生は、この時点で36名)。
【第2回参加者の集合写真。2017年3月4日撮影】
第2回プログラム(@関西大学千里山キャンパス第3学舎B201(B)教室)
第1部(13:00-17:30)
・1講目(13:00-13:20)
自己紹介を兼ねて各自の問題関心と社会学観を語る(初参加の人。2回目の参加の人は名前だけ)。
・2講目(13:20-14:50)
人生を社会学してみよう! (講師:片桐)
(講義と質疑応答の間に、休憩10分はさむ)
・3講目(15:10-16:10)
時事問題を社会学的に考える(問題提起役:松崎茂樹)
「地方と国における原発政策について〜昨年の原発立地県知事選挙の結果から〜」
・4講目(16:30-17:30)
身近な問題を社会学的に考える(問題提起役:濱口凌)
「恋はどうやって始まるのか?――恋愛と結婚を考える――」
第2部(18:00-21:00)
懇親会@居酒屋すっぽん
(18.3.10)第3回片桐塾を開催する。参加者21名(塾生は、この時点で41名)。
【第3回参加者の集合写真。2018年3月10日撮影】
第3回プログラム(@関西大学千里山キャンパス第3学舎B201(B)教室)
第1部(13:00-17:30)
・1講目(13:00-13:20)
自己紹介を兼ねて各自の問題関心と社会学観を語る(初参加の人のみ)。
・2講目(13:20-14:50)
「大学生調査30年――2017年大学生調査結果報告――」(講師:片桐)
(講義と質疑応答の間に、休憩10分はさむ)
参考文献 : 片桐新自『不透明社会の中の若者たち――大学生調査25年から見る過去・現在・未来――』関西大学出版部、2014年。
・3講目(15:10-16:10)
身近な問題を考える(問題提起役:宇留島拓人)
「学校の担う範囲について――現役小学校教諭の立場から――」
・4講目(16:30-17:30)
日本社会について考える(問題提起役:仲上惠理奈)
「日本はまだ男女不平等社会なのか?――女性の社会地位の変遷から考える――」
第2部(18:00-21:00)
懇親会@居酒屋すっぽん
(18.9.8)第4回片桐塾を開催する。参加者29名(塾生は、この時点で49名)。
【第4回参加者の集合写真。2018年9月8日撮影】
第1部(13:00-17:30)
・新塾生紹介(13:00-13:10)
自己紹介を兼ねて各自の問題関心と社会学観を語る(初参加の人のみ)。難しければ、現在生活をする中で気になっていることや最近のニュースで関心を持っていることを語る。また、この塾に期待することを語る。
・1講目(13:10-14:40)
「安倍一強内閣はなぜ生まれたのか?――現代政治史から読み解く――」(講師:片桐)
参考文献 : 片桐新自「1945-2014年の出来事と流行」(『不透明社会の中の若者たち――大学生調査25年から見る過去・現在・未来――』関西大学出版部、2014年。225-262頁)
・2講目(15:00-16:10)
日本社会について考える (問題提起役:丸谷充伸)
「日本語教育っておもしろい!〜日本語教育から見えるもの〜」
・3講目(16:30-17:30)
身近な問題から考える(問題提起役:矢野美紗子)
「家族のお墓、どうしますか?〜多様化する供養とお墓のあり方〜」
第2部(18:00-21:00)
懇親会@居酒屋すっぽん
(19.3.16)第5回片桐塾を開催する。参加者29名(塾生は、この時点で52名)。
【第5回参加者の集合写真。2019年3月16日撮影】
第1部(13:00-17:30)
・新塾生紹介(13:00-13:10)
自己紹介を兼ねて各自の問題関心と社会学観を語る(初参加の人のみ)。難しければ、現在生活をする中で気になっていることや最近のニュースで関心を持っていることを語る。また、この塾に期待することを語る。
・1講目(13:10-14:40)
「医療の現場で考えていること――終末期医療の現場で家族に語ること」(講師役:影山健)
・2講目(15:00-16:00)
身近な問題から考える(問題提起役:勝又可奈子)
「モンスタークレーマー化する人々〜お客様は神様ですか?〜」
・3講目(16:20-17:30)
日本社会について考える (問題提起役:M口凌)
「不当な差別か妥当な区別か〜男女の差を社会はどう扱うべきか〜」
第2部(18:00-21:00)
懇親会@すっぽん
(19.9.7)第6回片桐塾を開催する。参加者28名+子4名(塾生は、この時点で56名)。
【第6回参加者の集合写真。2019年9月7日撮影】
第1部(13:00-17:30)
・新塾生紹介(13:00-13:10)
自己紹介を兼ねて各自の問題関心と社会学観を語る(初参加の人のみ)。難しければ、現在生活をする中で気になっていることや最近のニュースで関心を持っていることを語る。また、この塾に期待することを語る。
・1講目(13:10-15:30)
身近な問題から考える(基調報告:水口多津子with片桐新自)
「主婦という仕事あるいは生き方を考える」
・2講目(15:30-17:30)
日本社会について考える (講師:森本尚樹)
「日本の防衛について(入門編)」
「日米安全保障条約を考える」(問題提起役:片桐新自)
第2部(18:00-21:00)
懇親会@すっぽん
(20.3.7)第7回片桐塾を開催する。参加者26名(塾生は、この時点で59名)。
【第7回参加者の集合写真。2020年3月7日撮影】
第1部(13:00-17:30)
・塾生紹介(13:00-13:20)
・1講目(13:20-15:00)
身近な問題から考える(問題提起:阿久耀介)
「注目されにくい職業に目を向ける――児童福祉司と民生委員」
・2講目(15:15-17:30)
日本社会について考える (基調報告:吉田誠)
第2部(18:00-22:00)
懇親会@すっぽん
(20.9.12)第8回片桐塾をZoom併用で開催する。参加者37名(対面参加26名、Zoom参加11名)。
【第8回参加者の集合写真。2020年9月12日撮影】
第1部(13:00-17:30)
・塾生紹介(13:00-13:10)
・1講目(13:10-14:40)
身近な問題から考える(問題提起:足立貴志)
「やっぱり猫が好き〜保護猫?地域猫?猫ボランティア?動物愛護ってなんだろう〜」
・2講目(15:00-17:00)
日本社会について考える (基調報告:梶原富貴子)
「「相続」を「争続」としないために〜遺される人の為にできること〜」
・3講目(17:10-17;40)
最近気になるニュースについて語る(フリートークタイム)
「コロナ禍の日常生活を考える」
第2部(18:00-21:00)
懇親会@ケープコッド
(21.3.13)第9回片桐塾をZoom併用で開催する。参加者35名(対面参加23名、Zoom参加12名)。
【第9回参加者の集合写真。2021年3月13日撮影】
第1部(13:00-16:40)
・新塾生紹介(13:00-13:10)
・1講目(13:10-14:40)
身近な問題から考える(基調報告:片桐新自)
「社会人の価値観――大学を卒業すると何が変わるのか?――」
休憩(14:40-15:00)
・2講目(15:00-16:40)
日本社会について考える (基調報告:小林利美)
「不動産鑑定ウラ話〜地価公示価格って信じていいの?」
第2部(17:00-20:00)
懇親会@ゲリラ
(21.4.24)第9回のサブ塾を対面のみで開催する。参加者15名。
・1講目(14:00-15:50)
「社会人の価値観――大学を卒業すると何が変わるのか?――」をもとに議論する。
休憩(15:50-16:00)
・2講目(16:00-17:15)
現代の日本社会についてのフリートーク
(21.9.4)第10回片桐塾をZoom併用で開催する。参加者29名(対面参加18名、Zoom参加11名)。
【第10回参加者の集合写真。2021年9月4日撮影】
第1部(13:00-16:40)
・新塾生紹介(13:00-13:10)
・1講目(13:10-14:50)
身近な問題から考える(基調報告:松岡慧祐)
「地図の社会学ーー地図の誕生からグーグルマップまで」
休憩(14:55-15:15)
・2講目(15:15-16:45)
日本社会について考える (基調報告:舟橋明加)
「ムスリムと日本社会」
(22.3.12)第11回片桐塾をZoom併用で開催する。参加者29名(対面参加18名、Zoom参加11名)。
【第11回対面参加者の集合写真。2022年3月12日撮影】
第1部(13:00-16:40)
・1講目(13:10-14:45)
環境問題について考える (基調報告:井上道代)
「気候変動…私たちには何ができる?」
休憩(14:45-15:00)
・2講目(15:00-16:40)
経済について考える(基調報告:海野将都)
「実例から学ぶ銀行の儲け(収益)の上げ方」
(22.9.10)第12回片桐塾をZoom併用で開催する。参加者33名(対面参加23名、Zoom参加10名)。
【第12回参加者の集合写真。2022年9月10日撮影】
第1部(13:00-17:00)
・1講目(13:10-14:40)
日本社会について考える (問題提起:丸谷充伸)
「<多文化共生>を問う!―政策と現実のはざまで起きていること―」
休憩(14:40-15:00)
・2講目(15:00-16:30)
身近な問題から考える(基調報告:下地幸央)
「ショッピングセンター(SC)開発の変遷〜規模拡大と法規制と流行と」
(23.3.11)第13回片桐塾をZoom併用で開催する。参加者30名(対面参加22名、Zoom参加8名)。
【第13回参加者の集合写真。2023年3月11日撮影】
第1部(13:00-17:00)
・1講目(13:10-14:40)
日本社会について考える (基調報告:片桐新自)
「35年間の大学生の価値観の変化−−ジェンダー観と仕事観を中心に−−」
・2講目(15:00-16:30)
身近な問題から考える(基調報告:上田由季子)
「映画について業界の末端から見てみる
〜あのこっこが新卒入社で16年も働けてる会社って何してるん?〜」
(23.9.16)第14回片桐塾をZoom併用で開催する。参加者32名(対面参加24名、Zoom参加8名)。
【第14回参加者の集合写真。2023年9月16日撮影】
第1部(13:00-17:00)
・1講目(13:10-14:40)
日本社会について考える (基調報告:宇留島拓人)
「コロナと小学生」
・2講目(15:00-16:30)
身近な問題から考える(基調報告:濱口凌)
「知っていそうで知らない薬の世界」
(24.3.16)第15回片桐塾をZoom併用で開催する。参加者50名(対面参加29名、Zoom参加11名)。
【第15回参加者の集合写真。2024年3月16日撮影】
第1部(13:00-17:00)
・1講目(13:10-14:40)
身近な問題から考える(基調報告:八尾美緒)
「女性管理職の今とこれから 実体験を通じて」
・2講目(15:00-16:30)
日本社会について考える(問題提起:片桐新自)
「天皇制について考える」
(24.9.14)第16回片桐塾をZoom併用で開催する。参加者31名(対面参加22名、Zoom参加9名)。
【第16回参加者の集合写真。2024年9月14日撮影】
第1部(13:00-17:00)
・1講目(13:10-14:40)
日本社会について考える(問題提起:松崎茂樹)
「日本の食料・農業事情について 〜コメと畜産物から考察する〜」
・2講目(15:00-16:30)
身近な問題から考える(問題提起:竹谷史菜)
「現代社会における「助け合い」とは?
〜転生した私が古き良き地域社会・PTAでみた世界〜」